■常心亭の理念
常心亭は、日本の自然と四季の繊細な移ろいによって形成された、日本人の精神文化・美意識を、後世に受け継いでゆくことを真の目的とする。
【具体的には…】
木の国、日本において、木の美しさを追求する「江戸指物」の販売を通して「江戸指物師」の生活を支え、かつ、「江戸指物」という日常生活用具の、「真に日本的な美しさ」を、広く訴えていこうとするものである。
■製作のこだわり
木を美しいと感じる人は、世界中にいらっしゃると思います。しかし、木に「美」を感じる人は、それほどいらっしゃらないのではないでしょうか?それでは、木から「美」を感じさせることができる人はいるでしょうか?日本では、彼らのことを、江戸指物師と呼んでいます。「江戸指物師」こそ、木から「美」を産み出す職人なのです。
江戸指物は①生活用品であること。②100年使い続けられること。③木の美しさを表現すること。この3点を目標に製作されています。
①生活用品であること。
江戸指物は、毎日の生活に役立つものでなくてはなりません。
鑑賞するだけのものは江戸指物ではありません。
生活に必要なさまざまなものを、入れたり、飾ったりできなければなりません。
また、姿を見たり、手紙を書いたり、座ったり、そのほか、あらゆる生活動作に役立たなければなりません。
そのために江戸指物は、抽斗、棚、盆、箱、扉、台、鏡などを組み合わせて出来ています。
②100年使い続けられること。
江戸指物は、板や棒を、100年使い続けられるように組み立てる技術を開発しました。
また、春夏秋冬、湿度の急激な変化等によって、木が反ったり割れたりする性質を十分に研究して、板や棒を組み立てる方向や、組む堅さなどを微妙に調節し、接着剤のつけ方など、それぞれの場所に、適切な技法を用いて、100年変わらずに使い続けることが出来る製品に作り上げるのです。
そして、その表面を拭漆という、杢目を生かす塗装を施すことによって、100年変わらない美しさを保つことに成功したのです。
③木の美しさを表現すること。
江戸指物は、正面に美しい杢目を使い、その杢目を生かすように周りの杢を選びます。
木の美しさは、繊細な杢目にあります。その繊細さを生かすためには、薄く、華奢に見えなければなりません。丈夫さを追求するあまり、ごつくなっては、繊細な杢目が生きません。この一見反対に見える命題を、江戸指物は両方とも満足させるために、さまざまな工夫を凝らしています。
製品の周囲には、さまざまな面取りや、自然にかなったテリや丸みをつけます。しかし、これらは、美しい杢目の邪魔をしてはいけません。あくまでも、控えめでなければなりません。主役は美しい杢目なのです。
江戸指物の美は、美を付け加えるのではなく、雑味を取り除くことによって、純粋な杢目の美しさを引き出すように作られています。